忘れられない恋


(彼女目線)


私も彼氏も就職先が決まってお互いに喜んで一緒にお祝いした。頑張っていこうね!って2人でこれからの未来を応援し合った。それから数ヶ月経って、彼氏の元に届いたのは北海道勤務の通知書。東京勤務の私にとっては遠すぎる。最初はどんな距離でも好きっていう気持ちがあればって思ってた…けど…それじゃあきっとダメなんだ…。彼氏は絶対に私が会いたいって言ったら来てくれると思う。でも新入社員にとって最初の1年が重要なのに、こんな気持ちがあったら絶対に邪魔になる。だから私は決めた。好きだから、彼氏のことが大好きだから…明日のデートで終わりにする…。明日は精一杯悪女を演じるから、だから今日だけは、この夜だけはあなたを思って泣かせて…


(彼氏目線)


俺も彼女も就職先が決まってお祝いしたのが6月。彼女の勤務先が東京、俺が北海道って知らされたのが9月。それから3ヶ月、遠距離になってしまう前に何回もデートしたし旅行にだって行ったりした。けれど1ヶ月前から彼女の顔が曇りだした。楽しくなかったのかな?体調が悪かったのかな?って思ったけど、あの顔は違う。何か考えてるって感じで、必死にその思いを隠そうとしてる。俺だってバカじゃない。彼女のことは俺が1番分かる。明日のデート、必ず何か言われると思う。その時は真っ直ぐにあいつの思いを受け止めよう。あいつだけが悪者にならないように…あいつの気持ちが少しでも軽くなるように…。あいつが考え抜いて出した答えなら…彼氏として最後に出来ることはこれだけだから…。だから…今日だけはあいつを思って泣かせてくれ…


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彼氏「今日も楽しかったなw」


彼女「そうだね…」


彼氏「水族館行って、お前が楽しそうにしてるの見て、こっちも嬉しく」


彼女「あのさぁ!」←彼氏の言葉に被せる


彼氏「どうした?」


彼女「あの…さぁ…」


彼氏「…ちょっと付いてきて?お前に見せたいところがある」


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彼女「うわぁ…凄いね…ここ」


彼氏「だろ?w 東京でもこんなに星が綺麗に見えんだぜw お前に見せたかったんだーw」


彼女「ありがとう…」


彼氏「で?俺に言いたいことあるんだろ?」


彼女「…あのね…」


彼氏「うん」


彼女「…あの…私と別れて欲しい」


彼氏「…何で?」


彼女「…ほ、他に好きな人が出来たの」


彼氏「…」


彼女「私たちが離れちゃうって知って落ち込んでた時に慰めてくれた人なの。最初は心があればって思ってたけど、やっぱり遠すぎる。私には遠距離なんて無理だわ」


彼氏「…そっか…」


彼女「だからここでバイバイ。もうこれで終わり。明日から赤の他人だから」


彼氏「…今まで楽しかったか?」


彼女「そうだね。楽しかったよ。」


彼氏「それなら良かった…ちゃんとお前の彼氏、出来てたことを誇りに思えるわw」


彼女「誇りって…何言ってんの…」


彼氏「俺からしたらそれぐらいデカいことなのw …じゃあここで終わりだな…」


彼女「…うん…」


彼氏「向こうで頑張るからさ、お前も頑張れよ?」


彼女「うん…今までありがとう…さようなら」


(彼女目線) (泣きそうな感じで)


これであなたも心置き無く北海道に行けるよね。最低な女でごめん…最後の最後に好きな人が出来たから別れてなんて…。好きな人なんてあなた以外にいないのに…。本当にごめんなさい…。私のことなんて心配してくれる価値のないことをしてるのに…。私もあなたの彼女になれたことが誇りでした。これからも頑張って…さようなら…。


(彼氏目線) (泣きそうな感じで)


泣くところ見られたくないだろうから、わざと星空の下に連れてきたんだけど…バレてたかな?ごめんな…お前に別れてなんて言わせてしまって…。好きな人が出来たなんて嘘を付かせてしまって…。本当は俺から言わなきゃいけないんだろうけど、お前が傷付くの見たくなかったから…こんな弱い彼氏で本当にごめん。今までもそしてこれからも絶対に忘れられない。頑張れよ…さようなら…。